本稿では、コロナ禍で生まれたテレワーク需要に関して、見えてきた課題や対処方法をご紹介します。これから家づくりをされる方の、参考になれば幸いです。

2020年は、仕事のテレワーク化で戸惑った方が多かった印象です。テレワークしやすい住まいにしたいと試行錯誤したものの、現状の間取りでは限界があり、あまりうまくいってない方が多いように感じます。

どうやらコロナは長引きそうです。仮に収束しても、テレワークや授業のオンライン化は進むと考えられ、新築注文住宅では、いかにテレワークスペースを確保するかが課題になっています。

とは言え、テレワークについては、間取りだけを気にすればいいわけではありません。仕事とプライベートのON・OFF問題や、光熱費の増加問題にも言及したいと思いますので、気になる方は最後までご覧ください。

コロナ禍の家づくり、テレワークが広がり間取りのニーズが激変

これまでの注文住宅は、家族団らんやリラックスできることに重きを置いて、間取りを作ってきました。しかし、コロナ禍の現在は、その対極とも言えるニーズが生まれています。

詳しく、ご説明していきましょう。

テレワークのニーズ

2020年6月に、以下のコラムで今後需要が高まりそうな間取りについて考察しました。

》新型コロナウイルスの影響で新築住宅の間取りはどう変化するのか

上述のコラムで3つほど需要が高まりそうなものをご紹介していますが、あれから半年経って、その中でもとりわけ「テレワーク」のニーズに切実なものを感じます。

具体的に、いくつか例をあげてみましょう。

▼オンライン会議や商談ができる環境が欲しい
 画面に映る背景をもっとスッキリさせたい
 家族が映り込んだり、声が入ったりして困っている

▼集中して作業やアイディア出しをしたい
 生活音が気になって困っている
 家族の気配や呼びかけで意識が散漫になって困る

▼緊張感を失わず仕事がしたい
 空間内に集中を乱すものが多くて困る
 自宅だと、ついルーズになってしまう

▼仕事がしやすい環境を整えたい
 冷暖房が整っていない
 Wi-Fi環境が整っていない
 作業に適した机や椅子がない
 プリンターやFAX、資料が置けない

現在の住宅では、気の置けないはずの家族どうしが、今までにない気づかいを強いられています。気づかったり、気づかわれたり。いいかげん疲れてきて、オフィスが恋しくなっている方もおられることでしょう。

とは言え、コロナが収束する気配はなく、ますますテレワークや学校のオンライン化が進むかもしれない状況です。そんな中で需要が高まっているのが「生活空間と切り離したワークスペース」です。

書斎ではなく、ワークスペース

「生活空間と切り離したワークスペース」と言えば「お父さんの書斎」が思い浮かびます。書斎はテレワークスペースにならないのでしょうか。

テレワークを考慮せずに造った書斎は、あくまで私室になっているケースが多いように感じます。必ずしも仕事に適した環境になっておらず、他の家族が使いづらくもあるでしょう。

今必要なのは、個室・オープンスペースにかかわらず「家族が共用で使えるワークスペース」です。父母は仕事、子ども達は勉強。家族みんなが使うのにじゅうぶんなスペースを備えなければなりません。

▼個室に求められること
 集中して作業できる
 他の家族に気をつかわせないで済む
 罹患時の臨時隔離部屋になる

▼オープンスペース(LDKの一角など)に求められること
 ある程度作業に集中できる
 子どもの様子を見ながら作業できる
 家事をしながら作業できる

LDKにワークスペースがあると便利ですが、精神的にも空間的にも生活との境界が曖昧になりがちです。お仕事モードのON・OFFがうまくできない方もおられるでしょう。

緊張感を生活に持ち込んでしまったり、リラックス気分が抜けないまま作業に入ってしまったりするので、ON・OFFしやすい個室のワークスペースもあると便利です。

これから注文住宅を建てるご予定の方は、個室とオープン、両方のワークスペースが造れないかご検討いただくとよいでしょう。

ウィズコロナ、家づくりの課題と対処方法

住宅の間取りにおいてテレワーク用のスペースの需要が高まる中で、それにともなう課題も出てきました。以下に3つご紹介したいと思います。

新築時に空間や土地の制約が立ちはだかる

単純にワークスペースを追加すると、間取りの面積が増えます。ですが、土地には建ぺい率や容積率による床面積の制約があるので、そう簡単には増やせません。

床面積に加算されないようにロフトや小屋裏(屋根裏)を活用することも可能ですが、今度はコストアップの問題が出てきます。予算を増やせる方はいいですが、増やせない方は、うまくコストダウンもおこない相殺するしかありません。

具体的には「地価が安いところで土地を買う」や「私室や収納の面積を減らし、ワークスペースを確保する」といった方法が考えられます。いずれにしても、コロナ以前の家づくりとは、少し価値観を変えて臨まねばならないでしょう。

ON・OFFの切り替えが困難

個室のワークスペースを造れば、少しは仕事と生活の切り替えがしやすくなります。とは言え、生活スペースに仕事の緊張感や高揚感を持ち込まないよう完全に排除しようとしても、それは難しいでしょう。

そんな中で、リラックススペース側のバージョンアップ需要も高まっています。たとえば、リビングスペースをアウトドアに拡張する動きが代表で、お庭だけでなく、バルコニーや屋上テラスを第二のリビングにされるケースが出てきました。

屋外のリビングなら、今までのリビングより非日常感が味わえます。単純に日の光や外の風を感じるだけでも、緊張感や高揚感のリセットにつながるでしょう。

》屋上のある家のメリットとデメリット

同じような流れで、自宅キャンプも大人気です。コロナ禍の「外出しづらい、家族と過ごす時間が増えた、自炊する機会が増えた」といった状況を背景に、アウトドアリビングでBBQを楽しむ方が増えています。

実際、キャンプ用品店やアウトドアな暮らしを提案しているハウスメーカーは、問い合わせや売り上げが急増しています。キャンプ用品は持ち運びや収納に適しているうえ、インテリアとしても優秀なので、巣ごもり消費の恩恵にあずかったのもうなずけます。

光熱費の負担が増える

家族が在宅する時間が増え、光熱費が上がったご家庭も多いでしょう。こちらの解決も、テレワークスペースの確保と同じくらいしっかり考えておかねばなりません。

現在、住宅を省エネ化するために、国がZEH(ゼッチ)住宅や高気密高断熱住宅の普及を図っています。今回のコロナ禍で光熱費が家計を直撃したこともあり、今後ますます省エネ住宅の需要が高まるでしょう。

日中の電力消費の集中をさけるため、深夜電力の活用も進むかもしれません。それができるエコキュートや蓄熱式暖房機などの採用も、今後の家づくりでは「要検討」です。

コロナ禍の家づくり、テレワークで見えてきた課題と対処方法まとめ

コロナ禍で、在宅ワークをする方が増えました。そんな中で、集中して仕事ができるテレワークスペースの需要が高まっています。

とは言え、これまでの基本的な間取りにテレワークスペースを追加すると、建築面積とコストが増えてしまいます。この問題をどのように解決するのか、お施主様(工事発注主)の生活や家計に合わせた解決方法を考えねばなりません。

コロナは、テレワークスペースだけでなく、生活スペースの変化も促しつつあります。マイホームの中にいて外が感じられる、仕事の緊張感をリセットできる空間の需要が高まっています。

今は、これまでにないくらい我々建築にたずさわる者の知見が試されているのだと感じます。コロナ対策の間取りでお悩みの方は、お気軽に弊社までご相談ください。一緒に、あなたに合った間取りを考えましょう。

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