本稿では、注文住宅を建てるときの「キッチンでこだわるべきポイント」について解説します。とくにご検討いただきたい5項目をご紹介しますので、ご興味ある方は最後までご覧ください。
キッチンは、選択肢がとても豊富です。それゆえ、とくに料理が好きな方はトコトンこだわりたいところですよね。とは言え「お金をかけて自分好みのキッチンになるよう厳選したのに、使いごこちがよくなかった」という話もよく聞きます。
そんなことになったら、ショックが大きいことは想像に難くありません。キッチン選びはどこに注意すべきか、本稿でお伝えしたいと思います。
注文住宅のキッチン、どこにこだわるべき?
さっそく、キッチンでこだわるべきポイントをご紹介します。費用とこれからご説明する内容を検討材料にしていただき、あなたに合ったキッチンができあがるよう総合的に判断してください。
なお、優先順位が低いところは「可能な限りコストダウンする姿勢」でキッチン選びに臨んでいただくことをおすすめします。気を許すと高級オプションが欲しくなり、どんどんコストアップしていきます。
中見出し:こだわりポイント1、キッチンの種類(カウンターの形)
まずは、キッチンの種類からご紹介します。キッチンには、次の5つの形があります。
▼I型
一般的な横一列型のキッチンで、汎用性が高く、擬似的なペニンシュラ型やアイランド型にもできる
▼II型
I型キッチンを「コンロ+調理スペース」と「洗い場 (シンク)」で2分割して設置するタイプ
▼L型
I型キッチンをLの字に曲げたタイプで、空間の制限上、長尺のキッチンが置けないときに有効
▼ペニンシュラ型
キッチンの左右どちらかを壁に沿わせて据え付ける、半島型の設置方法
▼アイランド型
台所の中央にキッチンを据え付ける、壁と接しない設置方法で、大きなキッチン空間が必要
上述の5つのタイプは、自由に選べるわけではありません。キッチン空間の面積や形によって制約を受けます。あなたが計画している間取りに合わせて、使えるキッチンの中から「価格・デザイン・使い勝手」を考慮して選んでください。
こだわりポイント2、キッチンの間取り
先述のとおり、選べるキッチンの種類は台所の間取りによって制約を受けます。逆にいうと、使いたい種類のキッチンが決まっているなら、それに合わせて間取りを作る必要があります。
まず、オープンタイプの台所にするか、クローズドタイプの台所にするかで、使えるキッチンが変わります。前者は開放感があり、後者は来客時にキッチンを覗かれなくて済むメリットがあるので、好みやライフスタイルも合わせて考慮するといいでしょう。
オープンキッチン:ダイニングやリビングと同じ空間にキッチンをつくる
クローズドキッチン:キッチンだけ独立した部屋にする
さきほど、5つのキッチンタイプをご紹介しました。その中でもっとも普及しているのがI型キッチンです。これを採用して、かつオープンタイプの台所にする場合は、キッチンを壁付けにするか対面型にするか選べます。
壁付け型の間取り:壁に沿わせてキッチンを据え付ける
対面型の間取り:リビングやダイニングのほうに向かってキッチンを据え付ける
キッチンを壁付けにすると、間取りのうち台所が占める割合を少なくできます。狭小住宅や、リビング・ダイニングを広く取りたい方にむいている据え付け方法です。
いっぽうI型キッチンをリビング・ダイニングと対面するように設置すると、料理しながら子供たちの様子が見られます。ペニンシュラ型やアイランド型と似た雰囲気になるので、予算や空間の制約で両キッチンを採用できない方におすすめです。
こだわりポイント3、収納(背面収納や吊り戸棚など)
キッチンそのものの収納容量は、キッチンの種類が違っても大きく変わりません。たいていの方は、キッチンの収納スペースだけでは容量が足りず、背面収納や吊り戸棚を設置されるでしょう。
背面収納は、キッチンメーカーや家具メーカーから多種多様なタイプが販売されています。吊り戸棚もいろいろな機能を付帯できますので、デザイン・容量・価格を考慮して選択してください。
背面収納:対面式I型キッチンやペニンシュラ型、アイランド型の背面の壁に設置する収納
吊り戸棚:キッチンの上に吊り下げる形で設置する収納庫
意外と見落としがちなのが、ゴミ箱スペースです。ゴミ箱の置き場所も、しっかり確保しましょう。キッチン下がいいのか、背面収納の一部に組み込むのがいいのか、ご家庭の状況にあわせてご検討ください。
なくて困る方や、あってよかったと感じる方が多いのが、パントリースペースです。備蓄食材やキッチンで使う消耗品などの保管がしやすくなりますので、作れるなら作ったほうが便利です。
こだわりポイント4、家事動線
台所の間取りを作るときは、他の家事との兼ね合いや玄関からキッチンまでの動線もあわせて検討したいところです。冷蔵庫の位置やダイニングテーブルとの距離も考慮しておかないと、あとで後悔することになります。
とくにご利用中の冷蔵庫を新居でも使う方は、新築住宅の設計士に冷蔵庫のサイズや扉の吊り元の位置(右または左)を必ずお伝えください。これを忘れると、冷蔵庫の使い勝手が悪くなったり、買い換えが必要になったりします。
上述のことを考えた良い動線ができると、生活の中で発生する「小さな不満」を未然に防ぐことができます。適切な動線は家事の負担を減らし、家族の動線渋滞を解消してくれますので、シッカリこだわりましょう。
こだわりポイント5、掃除のしやすさ・汚れの目立ちにくさ
キッチンは汚れやすいので、掃除がしやすいと助かります。キッチンメーカー各社がコンロやレンジフード(換気扇)、シンク(洗い場)の掃除の負担が減る工夫をこらしていますので、ショールームでじっくり確認していただくとよいでしょう。
ペニンシュラ型やアイランド型のようなフラット型カウンターのキッチンを採用するなら、油飛びや水ハネが起こることを知っておきたいところです。キッチンカウンターやフローリングの掃除の手間が増え、後悔される方もいます。
対策としては、コンロの奥に立ち上がりを付けると、多少は飛散しにくくなります。対策以前に、どんなキッチンにも長所と短所があるので、理解したうえで採用することも大切です。
同じような理由でキッチンの壁のタイルも注意が必要です。タイルはオシャレですが、目地が汚れやすく、掃除しにくいのが弱点です。コンロの横と奥の壁だけでもキッチンパネルにすると、掃除しやすくなるので、ご検討ください。
キッチンのこだわりポイントまとめ
他人にとって良いキッチンが、あなたにとっても良いキッチンとは限りません。あなたがキッチンに求めることをよく理解した上で、インターネットの情報やショールームの実物をご覧ください。
今回は5つの「こだわりポイント」をご紹介しました。どれも選択を間違えると後悔につながる大事なポイントです。ぜひ重点的にご検討いただきたいと思います。
キッチンに利便性や意匠性を求め、際限なしにオプションを採用すると、おどろくほど高額になります。キッチン選びをする前に、必ず「優先順位が低いところは、徹底的にコストダウンする」と念じてから臨んでください。それくらいで丁度いい選択ができるでしょう。
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