ペットと暮らす家

本稿では「ペットと暮らす家」の間取りをつくるときのポイントをご紹介します。ペットを飼っていて、これから注文住宅を建てる方の参考になれば幸いです。

注文住宅のよいところは、家づくりに自分の要望を取り入れられること。家づくりの際はご家族だけでなく、ペットも一緒に暮らす一員ですから、暮らしやすくする工夫をしてあげたいですよね。

ペットのために配慮すべきことは、かなりたくさんあります。ペットの種類や性格によって何が要るのか変わってくるので、その見極めも必要です。

ぜひ本稿を参考に、家づくりに使えそうなアイデアを見つけてください。

ペットの暮らしに必要な間取りは?考える前に情報整理

ペットと暮らす家の間取りを考えるとき、ひとまず思いついた「ペットのために、新築住宅に欲しいもの」をあげていく方が大半でしょう。

しかし、それだけではアイデアが足りないかもしれません。住み始めてから「もっとこうすればよかった」と思うのは残念です。ペットと暮らす家に必要なものを、さらに洗い出してみましょう。

アイデア出しに役立つのは、以下の3つです。

  • ペットの習性や性格を知る
  • 他人の「困っていること」から学ぶ
  • 室内飼いのペットに多い家庭内事故を知る

順番に、もう少し詳しく解説していきましょう。

ペットの習性や性格を知る

あなたが一緒に暮らしているペットが好きなこと、苦手なことはなんですか?動物の習性や性格を知っておくと、家づくりに役立ちます。

たとえばワンちゃんなら、こんなことが好きではないでしょうか?

  • 散歩
  • 穴を掘る
  • 穴ぐらみたいなところに入る
  • ものを集取して隠す
  • 地面に体をこすりつける

逆に、こんなことは苦手かもしれませんね。

  • ひとりぼっち
  • 暑さ
  • 目を見ながら、まっすぐ歩み寄られる
  • 縄張りに知らない人や動物が入る

ネコちゃんは、どうでしょう?こんなことが好きかもしれませんね。

  • 高いところに上る
  • ひなたぼっこする
  • 狭い隙間に入る
  • 爪とぎ
  • 毛づくろい

ネコちゃんは、こんなことが苦手ではないでしょうか。

  • 縄張りに他の猫が侵入する
  • 不潔な場所
  • 寒いところ
  • お風呂

こうやって動物の特性や性格をあげていくと、ペットと暮らす家に必要なものが見えてきます。ワンちゃんや猫ちゃんなら、運動不足対策や居心地がよい場所づくり、床や壁のキズ対策などおこなっておきたいところです。

他人の「困っていること」から学ぶ

ペットに関して、他人が困っていることも参考になります。ペットを飼っている人は、何に困っているのでしょうか?

全国に多数のTカード会員を持つカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社が、2019年にペットを飼っている方が困っていることを調査しています。その回答から、住宅と関係がありそうなものをあげてみましょう。

  • 排泄物の始末
  • 部屋が散らかる・汚れる
  • 温度管理
  • ニオイ

参考:ペットに関するアンケート調査

他にも、アイリスプラザがおこなった「犬の国勢調査2018」も参考になります。こちらも「愛犬に関して困っていること」の中から住宅に関連するものをピックアップしてみましょう。

  • 鳴き声が近所迷惑になる・無駄吠えが気になる
  • ニオイが気になる
  • 部屋の汚れ、損傷が気になる

参考:犬の国勢調査2018

アイリスプラザがおこなった「猫の国勢調査2019」も見てみましょう。ワンちゃんと同じく「愛猫に関する困りごと」の中から住宅に関連するものをピックアップしてみます。

  • 抜け毛が散らかる
  • 部屋の汚れ、損傷が気になる
  • ニオイが気になる

参考:猫の国勢調査2019

アンケート結果を参考にすると、掃除やニオイ、ご近所への配慮が必要だとわかります。

室内飼いのペットに多い家庭内事故を知る

ペットの室内飼いが増えてきたことから、ペットが家庭内で事故にあうケースも増えてきました。住宅にひそむ危険を把握して、事故の芽をつんでおきたいところです。

ペットの家庭内事故でもっとも多いのは「誤飲・誤食」ではないでしょうか?ペットが子どものオモチャや毒性のある観葉植物を誤って食べてしまい、ヒヤリとしたご経験をされた方は少なくないでしょう。インテリア小物の置き場所や収納方法は、工夫しておきたいところです。

ケガや骨折も、よく起こっています。床で滑って転んだり階段から転落したりするだけでなく、高いところからジャンプして着地に失敗するケースもあります。ドアで尾を挟む事故も、発生しています。床材には防滑性能が必須でしょう。

配線をかじって感電したり、調理中のキッチンで火傷したりする事故も、命にかかわるので無視できません。ペットが火災を引き起こすこともあるので、電気や火元への備えはしっかり整えておきたいところです。

ペットと暮らす家に必要な間取り・住宅設備・建材を考える

ペットと暮らす家ではどんな「お困りごと」があるのか、おおむね把握できたら次は必要な間取りや住宅設備、建材について考えていきましょう。

ここまで調べたことをもとにすると、ペットのために以下が整っているとよさそうです。

  • 運動や移動がしやすい動線
  • 居心地がよいプライベートスペース
  • 床や壁のキズ・汚れ対策
  • クリーンな環境が保ちやすくなる工夫
  • 家庭内の事故防止・安全のための工夫

順番に、もう少し詳しくご紹介していきましょう。

運動や移動がしやすい動線

犬や猫など、家庭内を動き回るペット用の動線は、なるべく行き止まりを作らないようにしたいところです。とくにワンちゃんを飼っているご家庭では、グルグルと回遊できる動線があると重宝します。

お庭のスペースに余裕があれば、ドッグランも設けたいところです。ワンちゃんのストレス解消に役立つでしょう。庭がつくれない狭小地では、屋上を活用する方法もあります。

屋上の活用方法については、こちらでも詳しくご紹介しています。狭小地でペットと暮らすご予定の方は、あわせてご覧ください。

屋上のある家のメリットとデメリット

猫ちゃんや小型犬と暮らすなら、ドアにはペットドア(ペットが通れる小扉)を付けておきたいところです。ペットが自分で自由に出入りできるだけでなく、扉の開け閉めが減ることで冷暖房のロスも少なくなります。

猫ちゃんが高所へ移動するためのキャットステップも便利です。市販のものを活用してもいいし、壁に猫ちゃん専用の階段棚を付けるのもおすすめです。ネコちゃん専用の梁・キャットウォークも付けてあげたいですね。

居心地がよいプライベートスペース

人間と同じく、ペットにもくつろげる空間が必要です。快適な温度で過ごせて、家族の気配を感じつつ適度にプライベート感があるスペースをつくってあげるとよいでしょう。

ワンちゃんには、室内土間スペースがおすすめです。土間は多目的で使えるだけでなく、夏でもヒンヤリした肌触りで、暑さが苦手なワンちゃんに適しています。

ペット用に外がのぞける見晴らし窓をつくっておくのもよいでしょう。ワンちゃんなら、家族の出入りがわかるように玄関の外が見える位置に。複層窓にすると、ワンちゃんの鳴き声が外に漏れにくくなり、ご近所対策になります。

ネコちゃんなら、高い位置でひなたぼっこができるようにしてあげるのがおすすめです。キャットタワーで過ごすのも、大好きです。

床や壁のキズ・汚れ対策

ペットと暮らすと、壁や床のキズや汚れが絶えません。できれば、汚れにくくする工夫や、汚れてしまったときに取り替えやすい配慮をしておきたいところ。ネコちゃんと暮らすなら、爪とぎも設置しておきましょう。

フローリングの中にはペット対応のものがあり、一般のものにくらべて防滑や防傷の性能が高くなっています。床材をフローリングにしたい方は、採用を検討されてみてはいかがでしょうか。あわせて階段も滑らないように処理しておきましょう。

床材は、フローリングだけではありません。タイルやタイルカーペット、クッションフロア、コルクマットなどもペットがいるご家庭で人気です。掃除しやすく取り替えやすいものを選ぶとよいでしょう。

壁紙も、耐久性や消臭に優れたペット対応のものがあります。腰高くらいで見切りを入れ、上下で貼り分けるのもいいでしょう。キズや汚れが付きやすい下半分だけ貼り替えられるようになります。下半分は壁紙ではなく、腰壁を貼るのも有効です。

クリーンな環境が保ちやすくなる工夫

ペットの抜け毛や排泄物の処理は、買主にとって悩みの種です。できるだけ掃除がしやすいように床材や間取りを工夫したいところです。

トイレスペースは、掃除のしやすさだけでなく換気にも気をつかいましょう。24時間換気だけでなく、必要に応じてON・OFFできる局所換気もあると便利です。壁にLIXILのエコカラットを使うと、調湿や脱臭効果が期待できます。

玄関の土間スペースを広げて、クローゼットを作るのもおすすめです。ペット用具を置いたり、お散歩の準備をしたりするのに便利です。室内や外構に、抜け毛や汚れを洗い流すペット専用のシンクを設置される方もおられます。

家庭内の事故防止・安全のための工夫

ペットの家庭内事故で多いのが、誤飲や脱臼です。とくにリビングで起こるケースが多いので、散乱したオモチャや小物が片付けやすい収納がLDKにあり、ペットが転びにくい床材になっていると安心です。

キッチンも事故が起こりやすいので、ペットが勝手に侵入できないようにペットフェンスがあると便利です。毛やホコリのことも考えると、オープンなキッチンではなく独立型(個室型)のキッチンにするのもひとつの方法です。

ペットフェンスは、以下の場所でも重宝します。市販品を使うのであれば、建築会社に相談して設置しやすいように間取りを検討してもらいましょう。

  • 玄関ホール:勝手に飛び出さないように
  • 階段:ペットの転落防止

ここ数年、夏は猛暑になりやすく、熱中症対策もご検討いただきたいところです。お留守番するペットのために冷房をつけっぱなしで外出される方は、家の断熱性能を高めましょう。しっかりと断熱することで、冷房効率がよくなり電気代が抑えられます。

【まとめ】ペットと暮らす家の間取りで気をつけたいこと

ペットと暮らす家の間取りでは、気をつけたいポイントがたくさんありますので、配慮のし忘れが出ないようにご注意ください。間取りを考える際に、ご自身の経験だけでなく、他人の経験や住宅内で起こりやすいペットの事故も考慮するといいでしょう。

とくに気を配りたいのが動線やペットのプライベートスペース、キズや汚れ防止、掃除のしやすさです。それぞれ動物の習性やお買いになっているペットの性格に合わせて、家づくりに取り込んでいくとよいでしょう。

ペット対応住宅の建築経験がある住宅会社に依頼すれば、必要に応じてアドバイスが受けられます。ホームページやカタログに「ペットと暮らす家」の実例が載っているか、チェックしてみてください。

SHOSHIN「猫と暮らすコンパクト設計の住宅」

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