新しく土地を買って注文住宅を建てる方は、数々の難問にぶつかります。土地探しの最初からつまずく方だけでなく、暮らし始めてから失敗に気づくケースもめずらしくありません。

それを知っている方は「土地を探さないといけないけど、何に気をつけたらいいの?」とか「失敗事例を知っておきたい」とお感じになられていることでしょう。

そこで、本稿では「土地探しをするときに気をつけたい5つの注意点」をご紹介します。土地探しをご検討中の方は、ぜひ探し始める前にご覧ください。

土地探しの注意点1、土地の価格相場を知っておく

まず土地探しを始める前に、あなたが住みたいエリアの土地の相場がどの程度なのか、観察してみましょう。相場がわかると、以下の2つのことを防ぎやすくなります。

  • 高すぎる価格で買ってしまう
  • もっと安い物件が出るのでは?と無いものねだりをしてしまう

相場を知ると、あなたの要望にかなう土地が適正価格で売り出されたときに、すぐに動けるようになります。土地の購入はスピード勝負ですから、相場観を身につけていただくほうが有利です。

相場の調べ方はいろいろありますが、誰でもすぐにできるのは以下の2つです。

① 不動産ポータルサイトで住みたいエリアの物件をチェックする
② 国土交通省の不動産取引情報価格検索を利用する

不動産には「査定額・売出価格・成約価格(売買価格)」の3つの価格があります。まず不動産会社に査定してもらい、査定額をもとに売出価格を決め、買主からの価格交渉を経て売買価格が決まります。

①は「売出価格」を確認するための方法です (代表的な不動産ポータルサイトは、後述します)。今市場にはどんな物件がいくらで売り出されているのか、何度もチェックしているうちに、相場観が身につくでしょう。

②は過去の「成約価格」を確認できます。実際に売買された金額ですから、買主にとっては①より参考になるでしょう。ただし発表が四半期ごとなので、情報鮮度が高くないことは注意が必要です。

参考:国土交通省「不動産取引情報価格検索」

もうひとつ、時間がかかりますが「複数の不動産屋に聞いてみる」という方法もあります。何社かに「このエリアの土地を探しているが、相場は坪単価でいくらくらい?」と聞けば、おおよその相場を教えてくれるでしょう。

土地探しの注意点2、いろいろな「土地の探し方」を試してみる

土地を探す手段をいくつか持っておくと、よりたくさんの土地情報をキャッチできます。「いつまでたっても、いい土地が見つからない」となるリスクを下げるために、複数の情報収集手段を持っておきましょう。

代表的な「土地の探し方」を3つご紹介します。

不動産ポータルサイトで探す

「土地を探す手段」と聞いてすぐに思いつくのは、不動産ポータルサイトでしょう。誰しも、まずインターネットを使って以下の大手不動産ポータルサイトをのぞくのではないでしょうか。

上述のWebサイトでいい物件を見つけたら、掲載している不動産屋に連絡して現地に連れて行ってもらいましょう。

初めて物件探しをするときは大変ですが、新規の登録物件はそれほど多くありませんので、土地探しを続けるとだんだんラクになります。相場観も身につくので、おすすめの方法です。

不動産会社に相談する

地域密着で活躍している不動産会社の中には、上述の不動産ポータルサイトに載らない会社もあります。ですから、土地を探したいエリアの不動産会社に直接問い合わせるのも、有効な方法です。

地域密着の不動産屋は、鮮度が高い情報や不動産ポータルサイトに公開されていない情報を持っていることがあります。いわゆる「未公開物件」と呼ばれるものですが、これが意外なほど数があるのです。

不動産会社の担当者も一緒になって土地を探してくれるので、あなた一人で探すより見つかりやすくなるメリットもあります。

住みたいエリアを歩いてみる

住みたいエリアを歩いてみて、空き地を見つけたら、不動産屋に持ち主をみつけてもらい売ってもらえないか交渉してみましょう。成功する可能性は低いですが、ゼロではありません。

以前、某住宅系番組の出演者が「Googleマップ(衛星写真)を使って空き地を探し、売ってもらった」とおっしゃっていました。数年かかったそうなので、まさに情熱の勝利と言えるでしょう。

住みたいエリアで売り出し中の土地をみつけたら、気に入らなくても価格はチェックしておくとよいです。相場観が身につきます。

土地探しの注意点3、建築会社探しも並行しておこなう

意外と見落としがちですが、土地探しと平行して建築会社探しもやってください。建築会社と二人三脚で土地探しをすることで「理想の家が建たない土地を買ってしまった」という失敗を避けやすくなります。

実際、土地の購入優先で不動産会社の話だけを鵜呑みにして家づくりを進めてしまい、にっちもさっちも行かなくなる方が少なくないのです。必ず建築会社と一緒に、土地の制約を考慮しながら購入していただきたいと思います。

たとえば土地の以下の状況は、必ず把握して納得したうえで購入してください。とくに、安いからといって変形地や高低差がある土地を買うと、思わぬ大出費につながるケースもあります。

  • 狭小地
  • 変形地
  • 高低差
  • 日照
  • 通風

同じく、建築法規も勘案してご購入いただかないと、思いどおりの間取りや建物がつくれない事態におちいりかねません。それどころか、法規定をクリアするために余分な建築コストがかかる土地もあります。

残念ながら、そこまで配慮してくれる不動産会社のスタッフは少ないので「自己学習+建築会社のアドバイス」で乗り切るしかありません。以下に建築関連法規の例をあげておきますので、一度自習してみてください。

  • 建築基準法(建築物が最低限クリアすべき基準)
  • 建築協定(地域の欲求により建築基準法に上乗せされた規定)
  • 消防法(住宅用火災警報器の設置義務など規定)
  • 都市計画法(用途地域や防火地域など規定)
  • 景観条例(良好な都市景観を形成するための規定)
  • 文化財保護法(埋蔵文化財包蔵地に建築する場合の踏査や試掘について規定)

土地探しの段階から建築会社にも加わってもらうと、不動産会社との連携や家づくりがスムーズに進みます。土地購入から建物完成までの期間が短いと、つなぎで利用したローンの利息も圧縮できます。

土地や建築関連法規の制約を考慮した土地が購入できたら、間取りプランづくりがスムーズに進みます。土留めの擁壁(ようへき)や防火サッシが必要になるといった、余分な出費も防ぎやすくなるでしょう。

一緒に土地を探してくれる建築会社もあります。たとえば不動産部門を持っている大手ハウスメーカーや、土地の仲介業務もやっている建築会社、不動産屋と太いつながりを持つ建築会社などは頼りになるでしょう。

土地探しの注意点4、土地と建物の予算配分を決めておく

土地を買う前にしっかり予算を組んでおくことで、建物や諸費用の予算が足りなくなる事態を防げます。「そんなの大丈夫」と思われるかもしれませんが、家づくりの諸費用はびっくりするぐらい高額ですので、お気を付けください。

家づくりの総予算は「総予算=土地代+建築工事費+付帯工事+諸費用」で表せます。付帯工事には、たとえば以下の工事が該当します。

  • 解体工事(古家や外構を解体撤去する)
  • 地盤改良工事(軟弱地盤を改良して建物が沈まないようにする)
  • 水道引込工事(前面道路から敷地内に水道を引き込む)
  • 外構工事(お庭や玄関アプローチの工事)

諸費用には、土地取得のための諸費用(仲介手数料や登記費用など)と建築工事に関連する諸費用、その他の諸費用(住宅ローンの保証料や引っ越し代など)があります。

建築工事関連の諸費用も、例をあげておきましょう。

  • 火災保険
  • 照明器具
  • エアコン
  • カーテン
  • 登記費用

いろいろな費用をあげましたが、全体を把握しておかないと予算配分を間違えたり予算が足りなくなったりします。まずは「土地優先か、建物優先か」を決め、しっかり予算を立てておきましょう。

絶対に住みたいエリアがある方は、土地優先で予算配分してください。総予算からまず「土地代と諸費用」を確保して、残りが「建物と付帯工事予算」です。

建てて欲しい建築会社がある方は、建物優先で予算配分してください。総予算からまず「建物工事費と付帯工事費と諸費用」を確保して、残りが「土地予算」です。

なお、諸費用についてはこちらの記事で詳しくご紹介していますので、あわせてご覧ください。

注文住宅を建てるときにかかる諸費用の内訳10項目と参考価格

土地探しの注意点5、周辺環境を確認しておく

家を建てたら、何十年もそこで暮らしていくことになります。ですから「住んでみたら、意外と不便だった」となると目も当てられません。そんなことにならないよう、しっかり環境をチェックしておきましょう。

たとえば、以下の環境は時間帯や曜日、天気が違う日にも見ておきたいところです。土日は静かなのに平日は近くの工場から大きな音が聞こえる、なんてこともあります。

  • 日当たり
  • 風通し
  • 水はけ
  • 騒音
  • 臭い

施設も確認しておきたいところです。たとえば、以下の施設に行くにはどんな方法でどれくらいの時間がかかるか、チェックしておきましょう。

  • スーパー
  • 病院
  • 学校
  • 公園
  • 駅・バス停

合わせて電柱や電線の位置も確認しておくといいでしょう。あなたが買う予定の敷地側に電柱や電線があると、建築工事の際にレッカー作業がしづらくなり、余分な費用が発生するかもしれません。

ハザードマップや治水地形分類図の旧河道は、水害に遭いやすい土地かどうかの目安になります。地盤サポートマップは、軟弱地盤の土地かどうか判断する参考になります。いずれも見ておくとよいでしょう。

参考:ジャパンホームシールド「地盤サポートマップ」

ガスの種類も確認しておくと、光熱費の削減に役立ちます。都市ガス地域に比べLPガス(プロパンガス)地域はガス代が高く、事前に分かっていたらオール電化住宅を検討できます。

【まとめ】注文住宅を建てるときの土地探しの注意点

家づくりはとても大変な事業で、とくに土地から購入する方にとっては大きな労力と精神力が必要になります。思いどおりの土地が買えなかったり、買ったあと後悔したりするケースも珍しくありません。

本稿では、土地探しの注意点を5つご紹介しました。どれも大事なことですが、一人で完璧にこなそうと無理をせず、不動産会社や建築会社のフォローを受けながら進めていただくのがよいでしょう。

「一般人が買える土地の中には、100点満点のものはない」ということも覚えておいてください。ですから、しっかり優先順位を決めて土地探しをすることが、早く購入できる秘訣です。

横浜市近隣で土地探しと注文住宅の建築をご検討中で、何かご不安を持たれている方は、お気軽に弊社までご相談ください。家づくりのことを、不安がなくなるまで丁寧にご説明いたします。