本稿では、家相(風水)からみたよい間取りと悪い間取りの特徴をご紹介します。「これから家づくりをするけど、風水や家相が気になる」という方は、ぜひ参考にしてください。

間取りを考えるときに、風水を気にする方は少なくありません。ですが、あまりにもこだわりすぎると、生活しにくい間取りになることがしばしばあります。流派や流儀によって見方が違うこともありますので、間取りに反映させるのは簡単ではありません。

本稿で家相(風水)のポイントを知ったうえで、生活のしやすさと両立を図ってみてはいかがでしょうか?

家相で避けるべき間取りの例

じつは、日本の家相・風水と本場中国の風水は考え方が違います。中国から入ってきた風水の思想が、日本流にアレンジされたのが家相です。

本場の風水では、家長の生年月日等を使って宅相(家相)を見ます。ですから、所有者が変わると、吉相だった家が凶相に変わることもあり得ます。

いっぽう、日本の家相は方位磁針が差す方位を使い、家の所有者が変わっても吉相・凶相が大きく変わりません。本稿では、この家相をベースに情報をお届けします。

さっそく、家相でよく言われる吉相・凶相、吉方位・凶方位などご紹介していきましょう。ただし、家相には絶対的な正解がありませんので、あくまで参考とお考えのうえご覧ください。

三所に三備を設けず

家相では「三所に三備を設けず」と言われます。三所とは「鬼門、裏鬼門、宅心(家の中心部)」のことで、三備とは「玄関、台所(キッチン)、トイレ」のこと。つまり「鬼門・裏鬼門・宅心には、玄関・台所・トイレを設けてはいけない」ということです。

鬼門と裏鬼門は、鬼が通る道と言われています。家相を見るうえで欠かすことのできない方位ですので、覚えておくとよいでしょう。ちなみに、本場中国の風水では、鬼門や裏鬼門を重視していません。

  • 鬼門:北東
  • 裏鬼門:南西

家相において「玄関」は非常に重要です。鬼門や裏鬼門は避け、後述する「欠け」にならないように配慮しながら、明るく清潔な玄関にするとよいと言われます。玄関から一直線上の正面に掃き出し窓がある間取りは金運が下がる「漏財宅」と呼ばれ、避けられます。

台所(キッチン)やトイレなどの水回りは「ケガレ」や「陰の気」を流す場所として玄関の次に注意をはらう方が少なくありません。あまり家相や風水を気にしない方でも、水回りだけ気にする方もおられるほどです。

家相では、キッチンとトイレにお風呂もふくめ、水回りは鬼門に配置しないよう配慮します。水回りの陰の気が家中に回らないよう、換気にもじゅうぶん気をつかいます。玄関から入る陽の気と混ざらないよう、玄関から離す方もおられます。

正中線(せいちゅうせん)・四隅線(しぐうせん)

家相では「正中線」と「四隅線」という言葉もよく出てきます。この2つの線上には、不浄のものや火気を置かないほうがよいとされています。

  • 正中線:南と北、東と西を結ぶ縦横の線
  • 四隅線:北東と南西、北西と南東を結ぶ斜めの線

不浄のものとは、ケガレを落とすトイレや風呂。火気に該当するのは、コンロやガス給湯器などです。とくに「鬼門線」と呼ばれる北東と南西を結ぶ線上は、水回りや火気を避ける傾向が強くなります。

張り・欠け

家の外壁ラインから少し出っ張った部分を「張り」と言い、へこんだ部分を「欠け」と言います。家相では、基本的に「張りは吉」で「欠けは凶」と言われています。

もう少し詳しくご説明すると、一辺の3分の1までの出っ張りが「張り」、3分の2以内のへこみを「欠け」と呼びます。この張り・欠けは土地にもあり、建物の張り・欠けとの相性もあります。

まずは、凶相の「張り」からご紹介しましょう。張りであっても、鬼門や裏鬼門は凶相とされています。

  • 北東の張り:健康運の低下、男児に災いに遭いやすい、相続でもめやすい
  • 南西の張り:女主人になりやすい、女系家族になりやすい、旦那の力が衰える

つづいて凶相の「欠け」をご紹介しましょう。

  • 北:大凶、健康運の低下、家運流転・家業衰退、跡取り難・後継者難
  • 北東(鬼門):凶、家庭が衰退、主人や跡継ぎに難が多い
  • 東:凶、男性の勢いが弱くなる、向上心が低下して家族衰退、跡継ぎが災いに遭いやすい
  • 南東(巽欠け):大凶、人間関係の不振、娘が良縁に恵まれにくい、商売人は業績不振
  • 南:大凶、トラブル多い、金銭運や仕事運の低下
  • 南西(裏鬼門):凶、家庭運の低下、大きく欠けると妻の運が下がる
  • 西:凶、金運の低下、家が衰退する、色情問題に注意
  • 北西:大凶、金運の低下、家長に問題が起こりやすい、家の衰退

なお、ビルトインガレージやオーバーハング(下階よりも上階が張り出した設計)も欠けができていると見なされ、避けたほうがよいという意見もあります。

吹き抜けも、家相では欠けと見なされます。宅心(家の中心)の階段も、上下に抜ける穴(欠け)ができてしまうので凶相と言われます。

家相で理想的なよい間取りの例

つづいて、家相の吉相をご紹介していきましょう。家相では、基本的に東・東南・北西が吉方位と言われます。間取りで鬼門や裏鬼門を避けたほうがよい室は、吉方位に配置するといいでしょう。

玄関

玄関は気の入口であり、吉方位(よい方位)に配置したいところです。日当たりと風通しを考慮して、陽の気を入れ込む方位がよく、玄関から入った気を家中に巡らせます。

玄関の吉方位は、以下のとおりです。

  • 東南
  • 北西

玄関は家相においてとくに重要ですので、できるだけ優先して吉方位に配置するとよいでしょう。

台所(キッチン)

台所(キッチン)は人間のエネルギーを生み出す場所であり、「陽の気を生む火」と「陰の気を生む水」を同時に使う場所でもあります。陰の気に傾かないよう、吉方位に配置するとよいでしょう。

台所の吉方位は、以下のとおりです。

  • 東南
  • 北西

なお、干支を用いる流派では、家族の干支方位も避けて台所を配置します。干支方位は、以下のとおりです。

  • 子:北
  • 丑:北北東
  • 寅:東北東
  • 卯:東
  • 辰:東南東
  • 巳:南南東
  • 午:南
  • 未:南南西
  • 申:西南西
  • 酉:西
  • 戌:西北西
  • 亥:北北西

この干支方位は、家族全員を考慮するのか、家長のみ考慮するのか、あるいは台所をもっとも使う人を考慮するのか、家相を見る方の流派によって変わるようです。

風呂・トイレ

水回り設備の中でもとくに陰の気が溜まりやすいのが、トイレと風呂です。ですから、どこに配置しても吉方位にならないとする意見や、一般的な吉方位(東、南東、北西)ならOKとする意見があります。

他にも「トイレは玄関や神仏(神棚や仏壇)の近くを避ける」や「玄関や神仏の上階にトイレを置かない」なども意識されるところです。

リビング

リビングは家族がもっとも長く過ごす空間ではないでしょうか。ですから、家相においては陽の気を取り込める「東・東南・南」が吉方位とされます。

陽の気を取り込んだリビングは、居心地のよい空間となります。リビングが各部屋に行くための起点になっているような間取りは、リビングに溜まった陽の気が家全体に流れるのでよいと言われています。

リビングにストーブ(火気)を置く場合は、正中線上と四隅線上を避けて配置するとよいでしょう。

張り

「張り」は方角によっては吉相となります。よく言われる方位ごとの特徴をご紹介しましょう。

北:大吉、家運に影響する方位、家庭円満、家が繁栄する

東:大吉、朝日が昇る方位、物事の始まりを表す方位、一家の繁栄が勢いづく

南東(巽張り):大吉、人間関係にかかわる方位、社会的信用を得る、商売人は商売繁盛

南:小さな張りなら吉、学問や芸術と関係が深い方位、張りが大きすぎると夫の力が弱まる

西:小さな張りなら吉、財運や衣食に困らない、老後も生活安定、大きな張りは異性問題に悩む

北西(乾張り):大吉、発展性がある方位、金運の向上、子孫繁栄、家庭円満[DH3] 

【まとめ】家相・風水からみたよい間取りとダメな間取り

間取りづくりで家相を気にされる方は、少なくありません。とくに「鬼門・裏鬼門」は家相を気にしない方でもその名を知っているくらいで、水回りを置きたくないとお考えの方が多い印象です。他にも「正中線・四隅線」や「張り・欠け」なども家相でよく見られます。

家相は中国から伝わった風水に日本の民族性や生活習慣、住宅における禁忌を加味してアレンジしたものです。今もその考え方は変化し続けていて、本場の風水はもちろん、昔の家相の考え方とはずいぶん変わったところもあります。

それも当然です。今の住宅は昔の住宅にくらべて間取りや住宅設備、性能が大きく変わっています。日本人の生活習慣も変わっていて、畳や座の生活は失われつつあります。

家相のみ考慮して間取りを考えるのではなく、現代の間取りに寄り添う形で取り入れてみてはいかがでしょうか。

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