注文住宅を建てるお施主様からいただく質問で多いのが、スケジュールに関することと、お金に関することです。どちらも非常に複雑で、うまく説明してくれる建築会社は少ないのではないでしょうか。

今回は「お金の話」のうち注文住宅の付帯工事費と諸費用について解説します。いずれも依頼する建築会社や建築地の影響を受けるので「ケースバイケース」ということにご留意いただき、参考にしてください。

注文住宅を新築するときの諸費用の内訳


まず、注文住宅を建てるのに必要な費用からご紹介しましょう。注文住宅で必要な諸費用は大きく「土地代、土地購入の諸費用、建物の建築工事費、付帯工事費、建築の諸費用」の5つに分けられます。

このうち「付帯工事費」と「建築の諸費用」の2つが「注文住宅を建てるときの諸費用」に該当します。それぞれ、詳しく解説していきましょう。

注文住宅の付帯工事費とは?


注文住宅の付帯工事費は、建築工事を依頼する住宅メーカーや建築工事をする場所で変わり、1邸ごとに内容や金額が違います。目安や相場をお伝えしにくいのですが、代表的な5つの工事の参考価格をご紹介します。

▼解体工事費
建て替えの場合や古家付きの土地を買った場合は、既存住宅を解体する必要があります。予算は木造住宅の解体で「3~4万円/坪」ぐらいですが、塀の取り壊しや植栽の処分が必要なケースはもう少しかかります。

▼地耐力調査費・地盤補強費
地盤が硬い場合は不要ですが、軟弱地盤では2階建ての延床面積30~40坪の住宅で「50~100万円」程度かかることもあります。地盤補強が必要かどうかは、ほとんど運です。「道を挟んで向かいは要らないのに、こちらは必要」というケースもあります。

▼測量費
新築するにあたり、敷地の形や高低差、必要に応じて隣家の窓の位置などを測量します。敷地の境界が明確な場合は、5~15万円程度。境界の確定が必要な場合は、境界の複雑さにもよりますが、50万円を超えることもあります。

▼水道管引込工事費
前面道路の地中にある水道管本管から、敷地内に枝管を引き込む工事です。昔の枝管は13mmが主流で、今は20mmや25mmが主流です。よって、建て替えのときも引き込み直します。予算は10~50万円ぐらい。自治体指定の上下水道工事業者(指定給水装置工事事業者)が施工します。

▼外構工事費
外構工事とは、お庭や玄関アプローチ、カーポートなど外周りの工事のことです。予算は土地1㎡あたり1~2万円ぐらいです。ただし、まだ両隣や後ろに家がないような新しい住宅団地では、三方の塀が要るので高額になります。

上述の5つの付帯工事以外にも別途エアコンや照明器具、カーテンなどの取り付け工事が必要です。これらの項目は、施工会社によっては建築工事の中に含めているところもあります。どこまで「コミ」でどこからお施主様手配になるのか、契約前によく確認しておきましょう。

なお、コミコミだからお得というわけでもありません。たとえばカーテン工事は建築会社に依頼するより自分で手配したほうが安くなります。ご面倒でなければ、できることは自分で発注するのもよいでしょう。

注文住宅の諸費用とは?


つづいて、建築工事と付帯工事以外にかかる諸費用を5つご紹介します。参考価格を書いておきますが、こちらもケースバイケースで大きく金額が変わることにご留意ください。

▼契約書に貼る印紙代
建築工事請負契約を締結して契約書を発行すると、印紙(印紙税)が必要です。本則税率は「2万円」ですが、現在軽減税率が適用されているので「1万円」で済みます。なお、不動産売買契約や金銭消費貸借契約(住宅ローン契約)も契約書に印紙を貼る必要があります。

参考:建設工事請負契約書の印紙税の軽減措置

▼登記費用
新築工事では土地家屋調査士に「表示登記」を、司法書士に「所有権保存登記」を依頼します。住宅ローンを使う場合は「抵当権設定登記」も必要です。費用は固定資産評価額や住宅ローン借入額で変わりますが、おおよそ20~25万円程度です。建て替えの場合は、古家の滅失登記も必要です。

▼住宅ローン事務手数料・保証料
住宅ローンを利用すると銀行に事務手数料を支払いますが、タイプが2つあります。ひとつは「3~5万円」の定額制。もうひとつは「借入額の2%」といった割合制です。低額性のほうが圧倒的に安く感じますが、そのぶん借入金利が高くなります。

保証会社に支払う保証料は外枠方式(借入額の約2%を一括前払い)と内枠方式(金利に0.2%上乗せ)があります。事務手数料も保証料も、総返済額と合わせてどの組み合わせが一番お得になるかシミュレーションすることをおすすめします。

▼火災保険・地震保険
火災保険は、できるだけ長期一括払いしたほうがお得です。木造の場合は10年一括払いにすると20~30万円程度で、省令準耐火構造の住宅は大幅値引きがあります。地震保険は所在地や耐震等級で大幅に変わります。以下のサイトでシミュレーションできるので、試算してみてください。

一般社団法人 日本損害保険協会「地震保険」

▼引っ越し代
ファミリーで20km以内の引っ越しをすると、荷物の量にもよりますが、おおよそ8万円前後の引っ越し代がかかります。繁忙期(3~4月)はやや高く、10万円前後必要です。

この他にも新規家具や家電購入費、建て替えの場合は工事中の仮住まい費用が必要です。付帯工事と諸費用の合計で500万円を超えることもザラにあるので、ちゃんと予算を組んだあと進めることを強くおすすめします。

新築注文住宅の諸費用を節約するには?

注文住宅の諸費用は、意外と削りにくいものです。節約も値引き交渉もできない項目が、たくさんあります。効果的なのは、外構工事を必要最低限にしたり、エアコンを安い時期に買ったり、引っ越しを相見積もりすることぐらいでしょうか。

それよりも、住宅ローンの金利に注目したほうがよいかもしれません。たとえ0.1%でも低金利の銀行で借りると、総返済額が大きく変わります。付帯工事や諸費用まで予算組みしたうえで、総予算に合う土地と建築会社を選ぶことも大事ですね。

最後に「おかねが足りない」とならないよう、ぜひ無理のない堅実な計画を立ててください。