本稿では、おしゃれなリビングにする内装(インテリア)のコツをご紹介します。お客様に「すてき!」と言われるリビング空間をつくりたい方の参考になれば幸いです。
リビングは家族がもっとも長時間過ごす空間であり、ゲストを招き入れる場所でもあります。ですから「リビングをおしゃれにしたい」と考えるのは自然なことです。
とは言え、いざインテリアコーディネートを始めると、家具や雑貨など建築後のデコレーションに気がいきがちです。できれば建築段階から、細かいところまで気を配ってみましょう。
ビシッと服装がきまっていても、それを着る人の姿勢が悪いと野暮ったく見えますよね。ご自宅のリビングがそんなことにならないように、家そのものから「おしゃれ」こだわってみませんか?
リビングの床・壁・天井をおしゃれに見せるコツ
まずはリビングの「壁・床・天井」のお話から進めてまいりましょう。
床・壁・天井の仕上げ材の選び方
壁の仕上げ材は、壁紙(クロス)を採用している建築会社が多いでしょう。壁紙は種類が豊富で、すてきな色・柄のものも多く、欧米の住宅のような雰囲気にすることもできます。
ですが、個性的な色・柄ものの壁紙はコーディネートの難度が高く、多用はおすすめしません。アクセントとして一面に使う程度が無難です。
なお柄ものの壁紙がお好きなら、輸入壁紙もご覧ください。国産品の柄ものにくらべて、おしゃれなものが多くあります。とくに以下のようなヨーロッパの定番モチーフは、伝統的でクラシックなお部屋によくあいます。
- チンツ(イギリスの伝統的なクロス)
- トワルドジュイ(フランスの伝統パターン)
- ダマスク(欧州インテリアの定番モチーフ)
床材は、フローリングが定番です。フローリングは無垢材のものと合板のものがあり、どちらも種類や色が豊富にあります。無垢材は樹種によって風合いや肌触りが違います。実際に触って確かめてから選びましょう。
合板の床材には、傷がつきにくいものやペットが滑らず歩けるものがあります。明るい色の床材は、窓からの光を部屋全体に拡散できます。好みだけでなく、このような機能性も考慮して選ぶとよいでしょう。
巾木(床と壁の境を隠す部材)や廻り縁(壁と天井の境を隠す部材)も、リビングの雰囲気づくりに重要な役割をはたします。シンプルなお部屋なら、シンプルな巾木と廻り縁を選びましょう。廻り縁をなしにするケースもあります。
お選びになられたインテリアスタイル(詳しくは後述)によっては、廻り縁の代わりにモールディングを使うとよいでしょう。天井のメダリオンや窓枠や戸枠のケーシングもこだわると、欧米住宅の雰囲気が出せます。
カーテンの選び方
カーテンは面積が大きいので、その色柄が部屋の印象を左右します。お客様がよく来るリビング・ダイニングは、少し奮発して良質のものを掛けるといいでしょう。
カーテンはカタログだけで選ばず、大きめのサンプルを取って色柄を確認してください。それから、窓掛けはカーテンだけではありません。以下のものも含めて、お部屋の雰囲気にあったものを選択しましょう。
- ローマンシェード
- ブラインド
- バーチカルブラインド
- ロールスクリーン
- プリーツスクリーン
カーテンが決まったら、レースカーテンもこだわって選んでみましょう。できるだけ存在感をなくしスッキリさせたいなら、ボイル(平織り)の山なしにしてもいいでしょう。
少しインテリアからそれますが、窓から見える景色もリビングの雰囲気を決める大事な要素です。予算に余裕があれば、外構(お庭)にも気を配っていただくとリビングのグレードがアップします。
インテリアの神も細部に宿る?
もうひとつ、壁周りでこだわっていただきたいものがあります。それが何かと言うと、金物とスイッチ・コンセントプレートです。
壁周りの金物と言えば、ドアノブや取っ手です。既製品のドアのノブが気に入らなければ、あとから金物メーカーの意匠性が高いものに交換するのもひとつの方法です。
スイッチ・コンセントプレートも、意匠性が高い商品が販売されています。壁全体から見るとわずかな面積ですが、しっかり選ぶと空間のおしゃれ感が増しますので、ぜひこだわってみてください。
おしゃれなリビングの内装(インテリア)に欠かせない要素
もう少し、インテリアをおしゃれに見せるコツを掘り下げていきましょう。どうすれば、おしゃれに見えるのでしょうか?インテリアコーディネーターなみのセンスがないと、できないのでしょうか?
そんなことは、ありません。いくつかルールを覚えて、それにのっとってコーディエートすれば、見栄えがよくなります。いくつかルールをご紹介しましょう。
スタイル(テーマ)を決める
リビングのインテリアも、洋服といっしょでコーディネートが大切です。基本は、LDKのあらゆるもののスタイル(テーマ)を統一します。
「インテリア」は内装を表す言葉で、家具や雑貨だけを指しているのではありません。ですから、以下のものもスタイルの統一感を持たせましょう。
- 床・壁・天井の仕上げ
- 照明
- カーテン
- 建具(ドア・戸)
では、インテリアのスタイルとはいったいどんなものなのでしょうか。
スタイルとは、主に地域性や時代性、デザイン史を反映したテーマのようなものです。大ざっぱに言うと「和風」や「ロココ調」のようなくくりだと考えてください。いくつか人気のスタイルをご紹介しましょう。
- スカンジナビアン(北欧)スタイル
- モダンスタイル
- ミッドセンチュリースタイル
- コテージスタイル(シャビーシックスタイル)
- コースタルスタイル
- コロニアルスタイル
- フレンチカントリースタイル
- ラスティックスタイル
- インダストリアルスタイル
- 和モダンスタイル
お気に入りのスタイルは、雑誌等で実例をいっぱい見ておくといいでしょう。気になる写真は切り抜いて、スクラップブックをつくっておくとあとで役立ちます。
インテリア上級者はあえてルールを設けず、大胆にさまざまなスタイルを組み合わせてもいいでしょう。このような「ごちゃまぜ」はエクレクティックスタイルと呼ばれ、ミキシングセンスが必要ですが、楽しい空間がつくれます。
できるだけ生活感を出さない
「生活感があるのに、おしゃれ」な部屋がつくれる方は、インテリア上級者です。初心者は、生活感を隠す方向で工夫しましょう。そのほうが素敵なリビングになります。
生活感が出てしまう理由は、たとえば「日用品があふれかえっている」とか「安っぽい小物が目につく」とか「どこの家庭にもありそうな、汎用品が多い」などでしょう。
では、どうすれば非日常感を演出できるのでしょうか。たとえば以下のように、先述の「生活感が出てしまう理由」をひとずつ潰してみてはいかがでしょうか。
- 日用品や雑多な物は、うまく隠す
- 雑貨は丁寧に選んで購入する
- 観葉植物やアートをうまく使う
雑多なものがそこら中に置いてあると、空間の情報量が多くなり過ぎます。日用品は収納にしまったり、目隠しで隠したりしましょう。持ち物を減らすのも有効です。
雑貨は、ぜひ丁寧に選んでみてください。たとえば、ゴミ箱や時計。機能性だけでなく、お部屋にあったデザインの個性的なものを選択するとよいでしょう。とくに壁掛け時計は「名作」と呼ばれるような定番デザインもあります。
観葉植物やアートも、空間演出に欠かせないアイテムです。リビングに洗練と余裕を付加できるので、取り入れてみてください。お部屋の差し色にも使えます。
空間の余白を大事にする
おしゃれなリビングには、ゆとりのある雰囲気をまとわせたいところ。ギチギチにつまった家具配置や、うるさいカラーコーディネートは避けましょう。野暮ったい印象になります。
家具の色や形は情報過密にならないように。周りは「動線+余白」を確保しましょう。できるだけ背が低い(重心が低い)ロースタイル家具でまとめると、圧迫感が少なくなり、空間上部に余白が生まれます。
おしゃれなリビングにあった家具・照明選びのコツ
最後に、家具や照明選びのコツをご紹介します。素敵なリビングのお家ができたら、家具や照明も素敵なものでそろえましょう。
まずは最小限の家具でスタートする
失敗しない家具選びのコツは「必要性を確かめて買う」ことです。つまり、そこで暮らしながら「こんな家具があるといいな」と実感してから買うのです。
とは言え、なかなかそれは難しいでしょう。ですから、生活するのに必要最小限の家具だけ購入して、新生活をスタートしてみてはいかがでしょうか。それ以外は暮らしながら増やしていくのです。
じつは、リビングに絶対必要な家具は多くありません。人によっては、テレビボードくらいかもしれません。
ソファやテーブルは、なくてもやっていけます。むしろ、幼児がおられるご家庭はソファやテーブルなしのほうが安全で、お子様のプレイスペースとして活用できます。
内装スタイルにあった家具を選ぶ
おしゃれなリビングにするなら、スタイル(テーマ)を決めるとよいと書きました。この「スタイル」は、家具選びにも活かせます。色や素材、デザインなど、インテリアスタイルにあわせて選ぶとコーディネートがうまくいきます。
どうあわせたらいいのかわからない方は、住宅専門雑誌でお気に入りのインテリアスタイルの写真を探してください。そこに写っている家具に注目して、家具選びの参考にするとよいでしょう。
建築化照明をうまく使う
天井づけのシーリングライトは野暮ったいものが多く、おしゃれな照明を見つけるのが大変です。リビングの照明は建築化照明にしたほうが、内装が引き立ち、リビングの雰囲気も上質なものになります。
たとえば以下の照明は、直接光源が見えず、上品で落ち着いた雰囲気がつくれます。
- コーニス照明
- コーブ照明
- バランス照明
これらの照明に、スポットライトやダウンライトを組み合わせていくとよいでしょう。さらに、リビングのお隣のダイニングに個性的なペンダントライトを吊せば、夜も素敵なLDKになります。
おしゃれなリビングにする内装(インテリア)のコツ
インテリアは、いくつかルールを覚えて、それにのっとってコーディエートすれば見栄えがよくなります。本稿でご紹介した「コツ」を参考に、あなた好みのリビング空間をつくってください。
なお、リビングのおしゃれを保つには収納が大事です。容量が足りないと、リビングが物であふれ、せっかくの素敵な空間が台なしになります。可能ならクローゼットを設けていただくと、雑多なものを隠せて便利です。
SHOSINでは、ホームページでリビングの施工事例を公開しています。気になる方は、こちらからご覧ください。